少し間が空いてしまいましたが、ここいらで私の所持するベースにも触れておきたいな、と思いましたので、今回はこれまで所持したベースとフレットレスとの接し方をご紹介しようかと思います。
素人の使っているベースなんて興味ねえよ、などと仰らないで、
ジャズベースに取り憑かれた漢(おとこ)の末路を目に焼き付けて、御自身のベース人生の反面教師としてご活用ください。
勿論、私はジャズベースの沼に引きずり込むつもりで書いておりますので、
そこはご了承下さい。
最初のエントリーで書いた通り、
暗黒卿Jaco Pastoriusによってジャズベースの沼へと誘われた北川少年は、その好奇心から禁断の魔術(レリック)に手を出してしまい暗黒面に堕ちてしまう。
それから一年後、力(フレットレス)を求め彷徨う北川少年の目の前に突如現れたのは”制限なき者”(ラインなしフレットレス)であった。
というお話でした。
高校2年生の私は、目の前に現れたラインなしフレットレスを短期のバイト代で手に入れました。
高校生の私とフレットレスベース
白いボディに鼈甲柄ピックガード、EMGのPUを搭載しており、何よりも黒々と光る指板がかっこよかったのです。
NO BRANDとのことでした。きっと誰かが作ったのを売ったのでしょう。
帰ってすぐにピックガードを外し、鳴らしてみると
EMGのガツンとした音が前に出て、「これがフレットレス…!!」
というのが第一印象。
しかしボディがとてつもなく重たくて、詰まっている感じ。
塗りつぶしボディなので、塗装の剥がれた部分を見ても
特徴的な木目はなく、コンクリートかなんかだろうという適当な結論
このベースは高校を卒業するまで付き合う事になるのですが、
とにかくラインがないことがネック(指板だけに)
今でこそフレッテッドよりフレットレスの方が弾きやすくて好きですが、
当時は弾きこなすことなどできず、力に飲み込まれてしまいました。
そこで、打開策として用いた練習法を書いておこう、というわけです。
これからフレットレスを始める方や、すでに持っているもののピッチが気になる、という方は是非参考にしていただければ…
ネットに上がっている情報もあるとは思いますが、個人的に有効的だったものをあげます。
まずは
①Steve Baileyもやっていたという練習法
この人がなんでもピッキングハーモニクスオジサンことSteve Baileyです。
Ariaの6弦フレットレスから気づいたらfenderになり、今はWarwickを使ってるなんでもピッキングハーモニクスオジサン
Steve Bailey & Victor Wooten - A Chick From Corea (Live)
最近毛髪が心配なグルーブオバケ(Victor Wooten大先生)とよくデュオをしてますね。
そんなSteve Baileyさんのやっていた練習の一つ、
真っ暗の部屋でチューナーだけつけて、ひたすら正しい音程をチェック。
これはいくら暗黒面に堕ちたといえどなかなか辛いです。
※画像はイメージです
孤独を噛み締めて練習しましょう。
ここでも常に音楽的に、スケールをただなぞるのではなく、同時にドラムトラックやメトロノームに合わせる事が大切です。
現在はフリーのアプリケーションでなんでもできますので、それに合わせると良いと思います。
ピッチが合っていても、リズムがダメではベーシスト失格ですので…。
Women and rhythm-section first!
そして、フレットレスという楽器は少なからず音の立ち上がりが遅れますので、ここで立ち上がりの感覚を身につけることも覚えましょう。
並行して、
②フレッテッドと交互に弾いて感覚を掴む
です!
持ち替えても違和感がないレベルまで、フレッテッドの感覚を身体に刻み込みましょう。
フレッテッドは目を瞑っていても正確な音程が取れます。
A弦3フレットはこのくらい肘を開いた位置、のように大体のポジションを身体で覚えて、それをフレットレスでも同じようにやります。
身体でポジションを覚えて、ピッチを掴むという練習です。
ただ、ちゃんとした姿勢で弾かないと間違った感覚で覚えてしまうので、練習の際はイスに座るなり、正しい姿勢で練習しましょう。
次に
③一人では寂しいのでピアノと合わせてみる
結局一人の練習なのですが、ピアノでコードを弾いてダンパーペダルで音を伸ばして、その上にベースを重ねるという実践的な練習です。
ピアノはできれば電子ピアノがよろしいかと。アナログシンセだとピアノ側のピッチが狂ってもフレットレスでは合わせられるので、間違った音を耳にしてしまいます。
電子ピアノならば、正確なピッチを出してくれますので、耳で音を寄せる事ができます。
ついでにピアノのコードも覚えちゃいましょう。後々役立ちますので。
できれば色々なコードに対するベースのアプローチも試してみると、思わぬところでサウンドしてくれたり、発見が多くなります。これは個人的に超オススメです。未だに続けている練習法。
そして次は友達をなくす覚悟で
④どこでもフレットレス
これは学生さんとか出会いが多く、友達も沢山いる人にしかオススメできません。
私の場合、これでしばらくフレットレスを封印したこともあります。
セッションや、バンド練習にとにかくフレットレスを持って行き、周りにダメ出ししてもらいます。
さながらピッチ裁判です。
ついでに録音してバンドのアンサンブルでのフレットレスの違和を探しましょう。
音がグワングワンと揺れている箇所は要注意です。
ビビってスタッカートにせず、音を伸ばしまくりましょう。
一度選んだ道ならば、地獄までフレットレスと歩む覚悟で初対面であろうが、旧知の仲であろうがフレットレスしか使わない。
家にあるフレッテッドは配線を切ったり、弦を捨てて弾けなくしましょう。
ちょっと言い過ぎましたが、とにかく人とフレットレスを合わせる事は大切です。
そしてバンドでフレットレスを鳴らすと浮いた感じが気持ちいい!
是非、脱孤独を!ピッチが悪いとまた孤独へ逆戻りしますが、逆境は人を成長させるものです。
先程からピッチ、ピッチと言ってますが、私は鮮魚ではありません。
フレットレスを持っていると本当によく言われるんです。
「それ、ピッチ大丈夫?」
なんて弾く前から言われます。
少しでもそういった文句を言わせないためにも正確な音程は取れるようにしておきましょう。
せっかくの音楽も楽しまなければ意味がありません。
苦痛やストレスを伴うなんて仕事だけで十分です。
結論は
⑤ライン入りを買う
Jacoがそうであったように、見た目を気にしてライン無しなんて買わずにライン入りを買うと良いです。
ラインがあったとしてもおおよその目安にしかならないので、最終的には耳だけが頼りになりますが、とりあえず弾くのならライン入りのフレットレスの方が疲れません。
その他
私は絶対音感がないので、相対音感をずっと鍛えたりしました。
あとは毎回、チューナーを使わずにチューニングをして、そのあとチューナーで確認し直したり、
オクターブチューニングには人一倍気を使い、
時には自信喪失から音程感が分からないレベルまでブーミーな音にしてバンドを困らせた事もありました。
こう書くと、「やっぱりハードルが高いんだ」と思われますが、
フレットレスでしか出せない音があります。
そして、苦労した分自分にしか出せないサウンドが待っています。
Jaco Pastoriusはフレットレスで、なおかつ誤魔化しの利かないブライトなサウンドで正確なピッチを叩き出しますので、こういった地道な練習もJacoへ近づく一歩なのです。
あくまでも上記の練習は身体で理解したいような方へのオススメなので、
俺は生粋のアーティストだ!全ての音は芸術だ!!
趣味なのにそんな修行みたいな事したくない!
音程に制限されるな!もっと微分音を取り入れるべきだ!
という方には参考にならないかもしれません。
音楽の楽しみ方、楽器の弾き方は人それぞれですので、
苦行とも言える練習は私なりの楽しみ方です。
同じような悩みを持つ方は参考にされてはいかがでしょうか。
最後に私が当時よく見ていたフレットレスの教則を幾つかご紹介します
Gary Willis - Progressive Basics - [1 of 4]
Steve Bailey Fretless Bass Lesson chunk 2 xvid
教則ビデオを紹介しましたが、本当に様々なフレットレスベーシストの演奏を見て勉強しました。
Jaco Pastoriusは勿論穴が開くほど見てますが、
Michael Manring、Alain Caron、Pino Paladino、水野正敏…その他目に付いたフレットレスと名のつくものはプロアマ問わず、片っ端から見ていた気がします。
現在はもっと高度で画質の良い教則が多いので、そういった映像も参考にされると、より充実したフレットレス生活が広がります。
長くなりましたが、要はなんでも楽しんで弾くということですね。
では
次回は他のベース紹介と改造点などを書こうと思います。