メイン機、Fullertoneを売却してからというものの、何も手につかない。
だからなのか、フレットが憎くて仕方ない。
フレットなんて全部無くなればいいんだ。
そもそも俺は金属アレルギーなんだ。
なのに何故ニッケルが家にあるんだ。
気の触れた私は、手当たり次第にフレットを抜くことに躍起になってしまい、
フレットレスにすることでFullertoneの心の穴を埋めることにしました。
フレットレス加工の使用道具
まずは、ネックを用意します。
- 食い切り
- 突板
- タイトボンド
- フレットソー
上記を一新。
Amazonさんにて、
平面を出した食い切り、タイトボンドを購入。
メイプルの突板は東急ハンズで購入。
久しぶりに改造熱が湧き上がり、
「Fullertoneは、ハングリー精神を思い出させてくれたのか…」と
全部自分でやったことに自分で納得するという、なんとも無駄な行動をしていました。
さて、約5年振りくらいになるフレットレス加工。
まずは腕慣らしに格安で入手したジャズベのネックから手をつけることにしました。
フレットレス加工の手順
フレットレス加工の方法をおさらいしていきます。
アイロンでフレットを温める
接着剤を柔らかくするために温めます。作業としては、3フレットくらい温めてフレットを抜いて、また温めての繰り返し。
フレットと指板の間にカッターを入れる
これは省略しても問題ないですが、個人的にはささくれを抑える為に儀式的に行っています。
食い切りで端から摘む
端は一番欠けやすいので、慎重に。気持ち的にはテコの原理は使わず、グイグイ刃先を指板とフレットの間に滑り込ませるイメージです。
浮いた端から真ん中に向かってグイグイ。逆側の端からも同じように持ち上げていきます。
一方向からフレットを浮かせていくと、最後に持ち上げる時に端っこが欠けてしまう可能性があるので、最後に真ん中を残すようにしています。
とりあえず抜けました。
フレットを抜いた後の溝にフレットソーを挿入
今回は、フレットラインにメイプルの突板を使用します。0.5mmの突板をはめ込むために0.53mm幅の刃のフレットソーを購入しました。
フレットレス加工をする際、フレットソーはあった方が良いです。タングはサイドいっぱいに入っている訳では無いので、抜いたままの状態で突板を取り付けようとしてもフィットしません。
また、サイドまで均一に引き直すことで、視認性を良くすることも出来ます。
溝を整えたら突板を入れていきましょう。
まぁまぁこんなもん。
突板を取り付ける
今回はメイプル材にしました。
このメイプル材一つとっても色々と考えるべきところがあります。木目の流れをどう扱うかでも視認性に差が出てくるので、気にしてみると良いでしょう。
取り付ける際はタイトボンドを板に塗っていきます。
大は小を兼ねる、という訳で多少厚めに盛ってますが、
どうせ最後に指板を整えるので、多少漏れても気にしない。
余分な部分をカット
タイトボンドで取り付けて2日置きました。
完全に固まった事を確認してはみ出た余分な部分をカットしていきます。
今回は、手元にあったカッターナイフで削り持っていますが、本来はノミなどを使った方が作業はしやすいです。
普段は私の場合、サイズ的に取り回しがしやすい彫刻刀を使っています。
(木を削る音は気持ち良いので録音しておきましょう。)
この時の注意点としては、ギリギリを攻めすぎない。
せっかく取り付けた突板も、木目に沿って割れたり裂けたりすることがあります。
切れ味のいい刃物を使うことと、まだ行けると思ってギリギリまで切り取ろうとすると指板傷めたり、突板を掘ってしまったり、いい事がありません。
後でどうせ研磨するので、0.5~1mmくらい飛び出してボコボコしているくらいでこの作業は終わりでも大丈夫。
指板の研磨
突板を切り取ったら、まずは平面を出すために研磨作業をしていきます。
140番位からゴリゴリ始めて、2000番くらいまで念入りに進めていくのですが、
この時の注意点は、
力を入れない
ということです。
力を入れると指板の真ん中だけ削れたり、あとで修正するのが面倒です。
なので、必ず角材などを使って優しく削って行きましょう。
指板には基本的にRがついているので、真ん中の一番高い部分から削れていきます。
サンディングブロックを使って、ムラが出ないように気をつけましょう。
何だこの木。どんどん色が薄くなっていくぞ!
研磨が終わったらいよいよ
というわけで、指板が仕上がったらエポキシを流し込む訳です。
今回はなんと…Fasco steel flexを使います!!!!!
そう、あのジャコのbass of doomをリペアしたゲヴィンカウフマンも使ったという、fasco社のエポキシです。
残念ながらドラタイトを指板に塗りたくる、という作業を省略してしまったため、完全再現とはいきませんが、大丈夫。
このエポキシさえあれば、ジャコに近づけるはずです。
1クォート輸入したのですが、正直こんなに使い切るほど量産、もしくはやり直しをする予定はないので、試してみたい方はコメント、またはTwitterから連絡ください。
エポキシ剤で差が出るのかは分かりませんが、こういうのは気持ちです。
何事も気持ちが大事。
ここから余談
さて、年内としてはここまでの作業しか進んでいないので、エポキシは年明けからなのですが、
この作業をする間、私にある問題が降りかかります。
「弾くフレットレスがない」
これは一大事です。
フレットレスを弾けない間、私はあの金属の擦れ合う音を耳にしなければならないのでしょうか…。耐えられない…。
(嘘です。平気で弾くし、なんならスラップするならフレテッドの方が好きです。)
自分に甘いことでも定評のある私は早速、
Geek in boxの嵯峨さんに泣きつきました。
「サガえもーん!フレットレスを売っちゃったんだ!新しいフレットレスを出してよ!」
という会話はなく、
普通に「バッカスの廃盤のジャコモデルいいなあ」と呟いたら、「廃盤は出回ってないけど、既存モデルなら用意できます」とご連絡頂いたので、購入。
しかも「どうせ直ぐに改造するだろうから、入荷したままの何も調整していない状態にしておきました」という、
私の思考丸わかりな先回り力…。
とりあえずナットも高いし、オクターブチューニングもしなきゃならないけど、
G弦のEを小指でビブラートかけながら「あー、どうしようかなぁ」と考えて、
結局家にあるベース、全部エポキシ流し込もう。
という結論に。
するとどうでしょう。
指板調整のため、ネックを取り外されたバッカスのフレットレスは弾けない。
「どうしよう!またフレットレスが弾けなくなっちゃった!」
もう手の施しようがないんですね。
エポキシを流すために何本買うんだと思ったのですが、Fullertone売ったんだし、これくらいいいだろ、と言い聞かせてくる自分もいます。
ジャコのサウンドを求める修羅の道は、思っていたよりも険しいものです。
ちゃんとしたメインで使えるベースを作る。
ちゃんとしたメインで使えるベースを買う。
この2つの文章は似ているようで全く異なる訳です。
アプローチが全然違う。
作るのは進めているとして、何か買う必要もある。
これまで何本もジャズベースを購入してきて、気付いたことがありました。
ジャパンビンテージが良いんじゃなくて、ジャパンビンテージは当たりの確率が現行品よりも高いんじゃないか
十分に使い古された木材で、精度がそれなりに高ければ、道具としては十分。
ブランドは所有欲を満たしますが、出てくる音が全ての世界で、そんなものは何の役にもたちません。
むしろ判断を鈍らせるだけで、
本来的に良い物というのは極めて主観的で、それでいて音は客観的であるべき。
万人が納得する音は難しいですが、ジャコ好きが「これはジャコだ」と思う可能性の高い音は望めます。
そしてそれはイコール自分が欲しい音でもある。
可能性を高めるためにJVシリアルのジャズベースを買ってみよう。
という自分でも支離滅裂な行動を重ねて、手に入れてきました。
Fender japan JV jazzbass
84年製のジャズベースです。
逆巻ペグ
スパイラルブリッジ
これだけで十分。
4kgオーバーですが、ボディまで振動が伝わってきて、なかなか良い音を出してくれます。
フレットレス加工は工房に頼んだ様子。メイプルで埋められていました。
結構綺麗です。
指板は少し淡いローズ。
エポキシ第1陣が完了するまで、
こいつをしばらく弾き倒して、どんどん手を入れていくことにしました。
詳しくはまた別のエントリーで。
それでは。